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外国人・海外居住者の方の会社設立について  

Q これから日本に会社を作って事業を開始する予定です。日本に協力者がいなくても設立がすすめられますか?

A ここ数年、外国人・海外居住者の方の会社設立に関してどんどん変わってきています。以前(2012年7月9日以前)は、外国人登録制度により、外国人が短期滞在で来日し、住民登録や印鑑登録をすることができたので、短期滞在で来日し、その間に会社設立の手続きを進めることができました。しかし、2012年7月9日の改正入管法以降は、外国人登録制度が廃止され、「短期滞在」の在留資格の方は在留カードが交付されず(住民登録が出来ないので、印鑑登録もできない)実質、海外居住者の外国人が会社を作る手続きをすることが出来なくなりました。

そしてこの数年、少しずつ緩和がなされ、現時点では以下の取り扱いとなっています。

会社の代表取締役の居住地について
日本に住所を有しなくても日本で会社設立ができるようになりました
日本で会社を作るとき、代表取締役のうち、最低1人は日本に住所を有していなければならないとされていましたが、代表取締役の全員が海外在住でも外国人でも、日本に会社を作ることができます。

出資の手続きについて
実際、日本に住所がない外国人は、住所を証する書類も印鑑登録もできず、日本に口座開設をすることができず、外国人のみの会社設立が進みにくい問題があり、結局、日本人のビジネスパートナーなどを探して協力してもらうなどの方法がとられていましたが、以下のように変わってきています。

口座名義人について
平成29年3月17日の通達により、使用する預金通帳の口座名義人については、以下が認められるようになりました。
1 発起人
2 設立時取締役
3 特例として、発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合には、発起人及び設立時取締役以外の者(第三者、法人も含む)であっても、預金通帳の口座名義人として認められるようになりました。(※委任状が必要)

払込を証する書面の作成について
代表取締役が以下の書面を作成し、以下の2つの書面をあわせて契印したものを「払込があった書面」として取り扱うことができるようになりました。

1 払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面
2 払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面。(1)~(3)を記載。
(1) 金融機関の名称・店名
(2) 出資金の払込みの履歴
(3) 口座の名義人

払込取扱機関について
「払込取扱機関」は、内国銀行の日本国内本支店だけでなく、外国銀行の日本国内支店も含まれます。また、内国銀行の海外支店も「払込取扱機関」に含まれます。東京銀行の大阪支店、東京銀行のニューヨーク支店、ニューヨーク銀行の東京支店などが認められます。

・署名証明書について
定款や登記に用いる外国人の署名証明書については、当該外国人が居住する国等に所在する当該外国人の本国官憲が作成したものでも差し支えないこととされました。※「署名証明書」は事前に公証役場、法務局に確認をしたほうがよいです。

<添付可能な署名証明書(B国に居住するA国人の場合)>
本国に所在する本国官憲作成(例:A国にあるA国の行政機関) ○
日本に所在する本国官憲作成(例:日本にあるA国の大使館) ○
第三国に所在する本国官憲作成(例:B国にあるA国の大使館) ○
本国に所在する公証人作成(例:A国の公証人) ○

外国語で作成された添付書面の翻訳について
商業登記の申請書に、外国語で作成された書面を添付する場合には、原則として、その全てについて日本語の訳文も併せて添付する必要があります。ただし、一定の場合には、翻訳を一部省略することが可能です。

契印の方法について
会社法の規定に基づく外国会社としての登記をしていない外国会社や、印鑑を押印することのできない外国人が、登記の申請書、定款(※)、添付書面の原本還付を求める場合の添付書面の写し等に契印する場合には、契印の代わりに、以下のいずれかの方法で署名をすることができます。
1 各ページごとのつづり目に署名(いわゆる割サイン)をする
2 各ページの余白部分に署名をする
3 各ページの余白部分にイニシャルを自書する
4 袋とじの部分(表紙と裏表紙の両方)に署名をする

会社設立後を進めつつ、日本の在留資格「経営・管理」の取得を進めておくと、スムーズに事業が開始できますので、どうぞお問い合わせください。

 

 

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